阿房列車に出演いたします山内健司と申します。みなさま、どうぞよろしくお願いします。
この阿房列車という作品なのですが、平田作品のなかでもちょっと特別な作品です。平田オリザの初めて劇団以外への書き下ろしとして、1991年に元祖演劇の素いき座のために書かれました。初演は1991年のたしか5月だったと思います。それからの最初の1年間はアゴラ劇場で、月一シアターと称してなんと毎月連続上演されたのです。これがすごかった。毎月、異なる演出を自分たちに課していたのです。僕は東京にいる時はすべてその上演を拝見させていただきました。
その年以降も、少なくとも一年に一回は必ず上演されている、まさにいき座の土井通肇、森下眞理さんのライフワークの作品です。そして、若い女の役は、私たちの劇団青年団の女優も多数参加して、何代にもわたって上演されている、なんというか、本当に特別な作品なのです。
この作品の土井さんたち以外による初演が、今回の私たちです。これはうれしい。光栄といわずして何と言いましょう。初演のときの土井さんより、おそらく僕は若いです。松田さんは当時の眞理さんより歳上。菊池さんの役はたくさんの同い年くらいの女優たちがやってきました。
言葉がいいですね。20年前の平田の言葉は、やはり当時の私がやっていた他の作品とも違う平田の若さがあります。そして稽古をしてみて強く感じるのは、内田百閒の文体の存在です。なんというか私にとって、その二者の言葉、昔の人たちの文体に接する快楽に満ち満ちているのです。
今回の作品で私は、本当にやりたいようにやらしていただいて、あとは演出の木崎さんにどーんとあずけてます。やりたいようにというのは、作品に具体的にあらわれるアイデアとかの表現上のことではありません。私が他者の言葉に対してどのようにアプローチしたいのか、どうすれば私の気がすむのか、その掘り下げる方法のことです。
この先、私たちもこの作品を長く上演できることをほんとに願っています。そのキックオフを最高のものとすることが今の一番の願いです。
このブログでは、せっかくですので、稽古のことや、戯曲のことなどをまた書かせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。
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